意地悪彼氏の攻略法。
途中、電車にも乗ったけど奏多はずっと黙ったままで、何も言わなかった。
何を考えてるのか、普段でもわからないのに、今の奏多のことだってわかるわけがない。
降りる駅に到着したのか、目的地までグイグイあたしを引っ張っていく。
見覚えのある周りの景色に、奏多が向かってる場所がわかってきた。
やっぱり、別れる気なんだよ。
あたしと同じこと考えてるなんて、こんな時だけ気が合うとか笑えちゃう……。
1年前の今日、奏多に告白した場所の前で立ち止まる。
あたしから振るはずだったのに、やっぱりこういう結果になるんだ。
苦笑しながら、黙って巨大なクリスマスツリーを見上げる奏多の横顔を見つめる。
もう隣にいられなくなるんだと思うと、涙が溢れそうになって、慌てて下を向く。
「オレ、環菜と別れる気なんてないから」
泣くのを必死に我慢していたあたしは、弾かれるように奏多を見る。
「うそ……だって、期限付きで付き合ってるって」
「その話には、ちゃんと続きがあるんだよ。まさか、環菜が聞いてたなんて思わなかったけど」
どういうこと?