意地悪彼氏の攻略法。


途中、電車にも乗ったけど奏多はずっと黙ったままで、何も言わなかった。


何を考えてるのか、普段でもわからないのに、今の奏多のことだってわかるわけがない。


降りる駅に到着したのか、目的地までグイグイあたしを引っ張っていく。


見覚えのある周りの景色に、奏多が向かってる場所がわかってきた。


やっぱり、別れる気なんだよ。


あたしと同じこと考えてるなんて、こんな時だけ気が合うとか笑えちゃう……。


1年前の今日、奏多に告白した場所の前で立ち止まる。


あたしから振るはずだったのに、やっぱりこういう結果になるんだ。


苦笑しながら、黙って巨大なクリスマスツリーを見上げる奏多の横顔を見つめる。


もう隣にいられなくなるんだと思うと、涙が溢れそうになって、慌てて下を向く。


「オレ、環菜と別れる気なんてないから」


泣くのを必死に我慢していたあたしは、弾かれるように奏多を見る。


「うそ……だって、期限付きで付き合ってるって」


「その話には、ちゃんと続きがあるんだよ。まさか、環菜が聞いてたなんて思わなかったけど」


どういうこと?


< 15 / 20 >

この作品をシェア

pagetop