君から好きを引き出す方法


完全にビビった足が震えているのが分かる。


なんで、どうして・・・私がこんな目に!?


海里が変な友人関係作るから悪いんだ!!


そんな風に涙目で親友に八つ当たりをしていれば、後ろから甲高い女の声が複数響いて。


振り返った男が私をパッと解放して嘘くさい笑顔を作り上げた。



「平木さーん、」


「いたいた。古谷さんも含めて一緒に写真撮りましょうよ~」


「探したんですよ~」



「ああ、ごめんね。ちょっと煙草を吸いに外でてナンパしてた」



媚を売るような声で近付いてきたのはどうやら同僚の人たちらしく、完全に偽善的な笑顔を向ける姿に呆れてしまう。


胡散臭い・・・。


心の底から信用できない。


そんな風に馬鹿みたいに見つめていた私だけど、見逃しつつあった逃げ出す好機に気がつくと。


そっと後ろに後退して、気づいていないのを確認すると一目散に走り去ってしまった。



「っ・・・あっ、美咲ーーーーー」



慌てて追ってくる声を聞こえないふりして会場ではなくレストランの外に走りだす。


海里ごめん。


あそこにいたら私の身の危険なの。


祝うべき親友を見捨て逃亡を計ると星がか細く光る夜空の下を走り去った。


逃げたら大丈夫。


もう平気・・・・。




もう・・・・・あの人には翻弄されない。




そう思いながらまだ感覚残る唇を強くこすりながら駆け抜けた。






だけど・・・・私は甘かったんだね。



逃げられてなんていない。



だって知らなかった。




分かってなかった・・・・。








敵に回した男がどれだけしつこいストーカーだったかなんて。









これが私と【大嫌い】な男 玄 との出会い。



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