君から好きを引き出す方法

「もう、離してよ!私はそんな簡単に誰かを好きになれない」



簡単な思いなんて・・・嫌っ・・・。




「俺もだよ」



響いた声に視線をゆっくりと戻して、真意を探るように見つめてしまった。


目に映るのは笑っているのに真剣なまなざしの男。



「・・・・・簡単じゃないとでも言う気?」



その質問に複雑な笑みを浮かべた男がフッと外の夜景を見てからすぐに私を見つめ返した。



「俺はしつこいよ」



ああ、言われなくてもそんな気はしてた。



「鬱陶しい人は嫌いです」



はっきりと嫌悪を乗せて言葉を返すと、その反応すら嬉しいという様に軽く笑った男が驚く言葉を吐いてくる。




「ははっ、そうだなぁ、とりあえず親睦を深めるために【駆け落ち】でもしてみるか?」


「は・・・・、なぜ・・・駆け落ち?」


「・・・・・駆け落ちした2人の結婚式で運命的に出会ったんだ。面白くね?」


「全然・・・・」



駄目だこの人・・・。




馬鹿だ。




そう判断するとにこにこと笑う男に背中を向けて駆け出してみる。


響いたヒールの音はたった数歩。


思いっきり逃がすものかと羽交い絞めにされ、耳元に直接的に脅迫めいた言葉を落とされた。



「よーっし、とりあえず。出会って仲を進展させるには番号交換だろ」


「け、携帯持ってないでーす」


「おい、もっとまともな嘘をつけ」


「じゃあ110」


「警察かよ・・・」


「そのまま変態ぶりを発揮してつかまってきてください」


「・・・・・犯すぞ・・・こらっ・・」



ゾクリとする言葉と響き。


ほ、本気の脅しだこれ。

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