君から好きを引き出す方法
甘く目の前の人でいっぱいだった頭に入りこむ存在。
嫌でも記憶した匂いすら思い出しそうで怖い。
「そんな・・・大げさですよ。私にはそんなの・・・」
「美咲ちゃんは本当美人さんだからね。なんでもよく似合いそうだけど・・・これは特に似合うよ」
優しくニッコリ笑う彼にときめいて、同時に複雑な感情にも支配される。
だけどもかき消すように微笑んでお礼とすると、広瀬さんも柔らかく微笑みカウンターにコサージュを戻した。
そうして商品を袋詰めする私をしばらく見つめたかと思うと、少しためらいながらその言葉は向けられた。
「美咲ちゃんって・・・恋人いるのかな?」
質問に対して動揺した心臓が耳の奥まで響いて煩い。
そんな存在はいた事すらない。
でも・・・好きな人は・・・。
心で答えるように広瀬さんを見つめ、口では簡単な答えだけ弾いてしまう。
「いないです」
「そっか、良かった。じゃあ、俺がデートに誘っても・・・問題ない?」
思いもよらない誘いに広瀬さんが購入しようとしていた商品を落としてしまった。
デート・・・・って・・・。
「わ、私とですか?」
「くすっ・・・、目の前には美咲ちゃんしかいないけど」
「だ、だって・・・私と出掛けても面白くは・・・」
「そう?俺はいつもこうして話すの楽しいと思ってるよ?」
「あ、あの、・・・・私・・・・嬉しい・・です」
ああ、多分・・・。
私の顔真っ赤・・・・。
ドキドキと高鳴る心臓の音が耳の奥まで響いてくる。
それを理解しているように笑う広瀬さんが素敵過ぎて意地悪で・・・・。
ああ、この人が【好き】・・・・。
「それは・・・OKって取っていいのかな?」
その言葉にただ馬鹿みたいに頷くことしかできず、それでも嬉しそうにほほ笑む広瀬さんが携帯を取り出し話を進める。
「連絡したいから携帯の番号教えてよ」
「あっ、はい」
ワタワタと自分の携帯を取り出すと自分の番号を広瀬さんに教えワンコール鳴らしてもらう。
表示されたその数字にドキドキして、間違って消さないようにすぐに登録して彼を見つめる。
どうしよう・・・緊張で手が震える。