君から好きを引き出す方法



どうせ今日も何もなかったかの様に現れるんでしょ?


そんな考えで玄の来訪に身構えて、この後ろめたいコサージュ突っ返してやる。なんて意気込んでいたというのに・・・。


なんで今日に限って姿を現さないあの男。


普段なら来るな、来るなと念じていたというのに、なぜ挑み待ち構えると読んでいるように期待を裏切るんだろう?


早く来なさいよ。


こんな私を乱すような元凶のコサージュなんて突っ返してやるから。



「・・・・でも、可愛いなぁ」




未練がましくコサージュを眺めていると風の入り込む音に瞬時に反応して顔をあげた。



来たか!?



そう思ったのに・・・・。



「あっ・・・・」



視界にとらえた姿に心臓が心地よく跳ねて締め付けられる。


反応の早い顔が赤くなっていないか不安になり、瞬時に触れてその熱を逃した。



「こんにちは美咲ちゃん」


「い、いらっしゃいませ・・・・広瀬さん」




重い扉を開け姿を現したのは玄ではなく常連客の1人である【広瀬さん】。


仕事の合間なのかスーツ姿で現れて、飼っている熱帯魚に必要な餌を手にするとゆっくりとカウンターに近づいてきた。


柔らかい微笑み方をするのが印象的で、最初この人のことも警戒していた私に根気よく、来るたびにこの笑顔で話しかけてくれた。


好青年と言えばいいのか?


あんなどっかの誰かさんみたいに強引じゃなく、さらりと優しい態度に私は見事惹かれ、・・・・実は私はこの人に片想いをしている。




「今日は美咲ちゃん1人かい?」


「千夏さん今配達に出てるんです」


「ふふっ、じゃあラッキーだ。美咲ちゃんと2人きりだね」


「そっ・・」



広瀬さんが渡してきた商品を受け取りながらその言葉に見事動揺して赤くなれば。


「冗談」と言ってくすくす笑う姿に心臓が暴れる。


ああ、爽やかな笑顔と声に癒される。


そんな彼の視線が置きっぱなしだったコサージュに移りそれを手にした。



「可愛いコサージュ持ってるね。・・・・美咲ちゃんに似合いそうだよ」


「そうですか?」


「うん、この色身とかなんだか美咲ちゃんのイメージに合わせて作ったみたいだ」



その言葉に今までとは違う反応で心臓が作用する。



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