君から好きを引き出す方法
震える体をなんとか抑え込もうと奮闘していると、自分の腕時計を確認した広瀬さんが苦笑いで袋を手にした。
「ごめん、もういかないと。また連絡するよ、またね」
「ありがとうごさいました」
重い扉がゆっくり閉まりガラス越しに彼の背中を見送った。
ドキドキと早い心臓が更に速さを増し、今取り付けた約束に反応して叫び出したくなる。
どうしよう、どうしよう!!
これって、デートだよね?
デートしちゃうんだよね?
もしかしたら・・・
恋人とかに・・・。
おもわずにやけそうになる顔を両手で覆うと顔の尋常じゃない熱さに自分で驚いた。
自分でも呆れるほどの乙女っぷりに悶絶していれば、ふわりと入り込む風に熱を冷やされ正気に戻る。
「あはは、美咲ちゃん顔真っ赤~。さっき広瀬くんとすれ違ったけど・・・その顔じゃあ彼ここに来たのね」
くすりと笑うと、配達の終ったケースをレジカウンターに置いたのはこの店の店員で両親の古くからの友人の千夏さん。
私と広瀬さんの事をからかいながら店の奥に進むと、これまたあからさまに店の匂いを確認してにやりと笑う。
ああ、意地が悪いなぁ。と、膨れっ面で対応すると、全然堪えないようにその言葉を口にした。
「煙草の匂いはないのね~。玄くんはまだ・・・・か」
「あいつは来なくていいです。てか、清々しいですよ」
「ふーん、あのコサージュを『突っ返す』って意気込んでたのに?実は気にいってるくせに」
レジカウンターの上にあるコサージュに視線を移して、意味ありげに私を見る千夏さんを赤い顔で睨んでみる。
「広瀬くんも素敵だけど・・・玄くんも素敵だと私は思うけどなぁ」
「どこがですか?あんな最低男」
どうやったって広瀬さんの素敵さには全然かなわないじゃない。
フイっと顔を横にそらせば千夏さんのくすくす笑いが返される。