君から好きを引き出す方法
「・・・いつまでいるの?」
「・・・心開くまで?」
「バカじゃない。貴方のまわりにいた女の子達と一緒にしないでよ」
「はっ?」
「さっきまで女の子達に囲まれて、ヘラヘラと愛想笑いしてて気分悪かった」
「愛想笑い?」
「完全に女の子をバカにしてる感じで最悪」
ああ、なんて一方的な意見をぶつけてしまったんだろう。
それでも偽りのない本音の言葉だ。
自分は悪くない。そんな勝手な事を言い聞かせ、ようやく新しいグラスを取りにその場を離れ始めた。
なのに敵はどうやらしつこいらしい。
「おいっ、待てって」
「なんですか?しつこいんですけど」
「いちいち突っかかる子だねぇ」
「だから、私にその愛想笑いやめてくれます?」
「それだよ。俺ってそんなに愛想笑いしてる様に見える?」
「少なくとも、心開く様な笑顔ではないですよね」
これもさっきから思っていた本音。
顔が良いからか他の人は気付かないのかもしれない。
それでも私にはあの愛想のいい笑顔が胡散臭くて信用ならない物にしか感じられない。
そんな物を真正面からぶつけられたら嫌悪しか感じず溝は深まるばかりだ。
何種類も並ぶアルコールから一つを選び手にすると、驚いて固まっている彼を見つめて会話を切ろうと試みる。
「・・・・話はそれだけですか?」
未だ無言でどう反応すべきか迷っているその人に背を向け、さっきの壁際に戻ろうとヒールを鳴らして歩き始める。
さすがに追いかけてくる足音はせず、ようやく安堵すれば正直に手が震えた。
ああ・・・・もう情けない。
もう20歳だっていうのに・・・。
気がつけば心臓も早鐘を打ち、それを誤魔化すようにヒールだという事も忘れて歩調を速めてしまった。
すでにそれが冷静でなかったと、響いたガラスの割れる音と床に両手をついた自分で理解した。
恥ずかしい・・・・。
一気に集中を集めてしまった自分の失態に身体が熱くなる。
それでなくても激しく動揺していたというのに。
早く、早く・・・いつもの自分に・・・。
暗示のように焦って冷静を取り戻そうとしていたのに。