君から好きを引き出す方法


「おいっ、平気か?」



言葉と一緒に肩に触れた手の感触にゾクリとした。



「っ・・・いやぁっ・・・」



思わず感情的にその手を振り払って叫んでしまう。


手を振り払われた彼が不機嫌そうに私に視線を戻し瞬時に驚愕の表情に切り替わった。


あっ・・・、どうしよう・・・・。


完全にミスをした。


きっと、この人は抜かりがない。


だから・・・・。


走って逃げ出したい衝動にかられその身をすぐに動かせば、腕に絡みつく指先が自分の意思でない方向へ歩かされた。


引かれるまま会場の外に連れ出され、流石に強引なそれに苛立ち交じりに非難すれば。


「ちょっと・・・離してっ・・」


「・・・俺も気づいたぞ」


その言葉に緊張が走る。


だって、もし私が懸念している事に気がついたというのならこの男は私の脅威になりかねない。


不安な眼差しで妖しく微笑む男を見上げれば、その唇が見事的中した答えを口にしてきた。



「・・・お前の冷たさは、嘘だ」


「・・・」


「・・・いや、防御か?」



ああ、なんで・・・。


なんでこんな男に・・・・。




「・・・お前、本当は男が怖いのか?」


「・・・ちがっ・・」


「怖いから愛想をふりまかないで冷めた態度とって相手を遠ざけてたわけか」


「違うもんっ・・・。私は・・・」



否定したくても出来る筈がない。


だってこの男が言ったそれは寸分違わぬ私の押し隠してきた本当の姿。


この歳で男が怖いなんていう自分の本音に羞恥して、次にどんな馬鹿にしたような言葉が降ってくるのか身構えて目をつぶると。



「ぶっ、ははははは・・・・。おもしれ~」




わ、笑いやがったこの男・・・・。


それでもどこか私が懸念した部分で笑っているように感じないそれに疑問を感じて見つめると。


胸ポケットから煙草を取り出し躊躇いなく火をつけるそいつ。


私は煙草大嫌いなんだけど・・・。


怪訝に眉根を寄せてその煙を鬱陶しいと睨みながらさっきの馬鹿笑いに不満を漏らす。



「本当に失礼」


「ははっ、わりぃ、なーんか、可愛いらしくてな」



可愛い?


だから・・・・あんたが言うと胡散臭い。

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