君から好きを引き出す方法
彼氏がいない歴20年。
当然そんな経験もなかった。
世の乙女の皆様が浮かれ期待するファーストキス。
いや、私は期待してたわけじゃないけど・・・・・。
こんな奴に奪われるのは予想外だ。
勢いのままに重なったそれはすぐに啄むようなそれに変えて。
角度を変えながらその重なりも深まっていく。
抵抗するように逃げ出そうとすれば頭の後ろに手が回り、より重なった唇を割って煙草の苦みと一緒に舌が絡め取られて苦しくなった。
抵抗むなしくされるがまま受け入れていたキスに足の力が抜けていく。
もう限界だと涙まで浮かび始めた瞬間に、ようやく離れた唇から酸素を取り入れ楽になった。
そうして絡む楽しげに笑う男の見下ろす視線。
最低最低最低・・・・・。
「信じられない。何するのよっ・・・」
「今体験した通り、大人のキス?」
「中身が子供の人にされたくないわよ」
「あっはははは、やっぱ面白いわお前」
そう言って笑った男の目にさっきと同じ危険を感じる。
咄嗟に逃げだしても手遅れで、すぐにその腕に閉じ込められると再び呼吸を奪われた。
経験もないからそれがどう判断していいのか分からないけれど。
熱く激しい重なりの繰り返しにとうとう涙が頬を伝う。
体が震えて言う事を効かない。
それを分かっていて、それを利用して自分の思うままに唇を重ねるこの男・・・・・・、
大っ嫌い!!
なんとか胸を押し返して唇を離すと、完全に怯んだ自分の声が響いてしまった。
「・・・もう、嫌だぁ・・・」
子供みたいに涙をぽろぽろと零す私は滑稽だろう。
きっとこの男はそうやってからかって私を楽しんでいるにすぎないんだ。
私に気持ちなんてないくせに!
惨めな感情で視線を下に落とすとすぐに上にあげられ見つめられた。
「俺は、お前のその顔が好き。いや、ギャップか?ガラリと変わる反応に惚れたかも・・・」
その言葉と表情に瞬時に心臓が跳ねて、何故か逃げ出さなければと思った。
今ここで逃げなくてはきっと逃げられない。
そう判断した体がその行動を実行しようとしたのにあっさりつかまり腕に包まれる。