201号室の、オオカミくん☆

「母さんの弟」

「皇汰くんのご友人でございましたか。私は佐原 悠仁(さわら ゆうじん)。皇汰くんを姉の代わりに預からせて頂いてます」

わざわざ丁寧に名刺まで渡されると、『佐原弁護士事務所 代表』と書かれていた。

若いのに弁護士事務所の社長なんだ。

関心していたけれど、私たちににこやかだった佐原さんが、皇汰の目の前に座る人を横目で見た瞬間、するどく冷たい瞳になった。



「あれ? 離婚調停の弁護士は私ではありませんよね? 楠木さん」

「息子が金髪になったと聞いて心配して会いに来ただけだ」

歯切れが悪いオジサンの言葉に、佐原さんの目がギラリと光る。



「貴方の育児放棄が認められ、接近禁止令が出されています。それはどんな時であろうと禁止です」
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