倦怠期です!
もし、あのタイミングで日香里を妊娠しなければ、私たちはもう少しつき合って、私もひとり暮らしを経験し、結婚していたかもしれないし、逆に別れていたかもしれない。

でも、“もし”は、実際起こらなかったこと。だから・・・。

「私はもしものことなんて分からない。でも私、あなた以外の人と結婚したいとは思わないし、結婚しても、ずっとあなたに恋し続けていたい。それくらい、わた、わたしは・・・仁さんのことが好き」

言いながら感極まった私は、泣きながら夫の頬を挟むようにそっと持つと、愛情と心を込めてキスをした。

「・・・どんくらい、俺のこと好きなんだよ」
「んっと。あなたに嫌われたら、生きていけないくらい・・・大好き・・・」

お互い、息が続かなくなるギリギリまでキスをした。
名残惜しく唇を離した私たちは、二人とも息が上がっている。

私たちは顔を見合わせると、ニッコリ微笑んだ。
と思ったら、夫が私をヒョイと姫抱っこした。
私は落ちないよう、夫の首に手を回す。


そして夫は私をベッドにボンと落とすと、急くように部屋着を脱ぎ始めた。
私もそれに倣って、部屋着を脱ぎ始める。

「あなたと結婚して20年の間、いいことばかりあったわけじゃないよ。あなたは仕事、ジム、飲み会って忙しく外で活動して。手がかからなくなった子どもたちとも、あまり会話がなくなって。すれ違ってばっかりで、なんか・・・私一人、置いてきぼりにされたような気がして・・・」

全てを脱ぎ終えた夫が、同じく素っ裸の私の上に覆いかぶさってきた。
むき出しの背中に当たる布団が冷たい。

「おまえと出会うまで、俺はつき合った彼女がいた。でも結婚して、家庭築いていきたいと思った女は、おまえしかおらん。ホンマ・・・一緒になって20年経っても、俺はまだおまえに恋しとる。おまえにだけはずっといいとこ見せたいから、筋トレにも励んで・・・」
「えっ!?あなた、“ジム代払って健康管理と体型維持する方が、頻繁にスーツを買い替えたりサイズ直しするより結果的に安上がりや”って言ったじゃ・・・あぁ」

そこ感じるって教えてくれたのは、他でもない、夫の仁さんだ。

「それもある。加えて、おまえとあんまりできんから、体動かして欲望発散しにジム通ってた。この二つこそが、正当な理由・・・うっ」
「・・・だからここ3ヶ月くらいは、あんまりジム通ってない・・・んだね」
「最近は、必要なくてな」

と夫にのたまわれた私は、ついクスッと笑ってしまった。

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