full of love~わが君の声、君の影~

9.いとしいきょり


「クリスマス会しましょー!」

“パーティー”ではなく“会”というところが彼らしい
咲と一緒でイイと言う。
神島くんも誘うというからOKした。

楽しかった♪
彼が近づくたびにドキドキしたが
あまりに自然に隣にいる空気感がたまらなく愛おしかった。

「今日子さん、白滝ってどうすればいいの?」
「ああこれはね・・」
「さっすが今日子さんは料理が上手いね」
「主婦ですから」
「あっそうだったそうだった、ははは」

“今日子さん”
私をそんな風に呼ぶのは彼が初めてだった。
呼ばれる度になんだかくすぐったい。

「!」
「あれ?今何か俺のコトよけた?」
「ううん!そんなことないよっさあお鍋が煮える前に片付けちゃうね」
「ああ俺やるよ」
「いい!いい!晴喜くんは吹きこぼれないように鍋見ててね」
「・・・はーい」

ちょっとあからさまだったかな?
でも
しょうがないでしょ!!
ライブのときのコト思い出しちゃうんだもん!
彼が近くに来ると左頬が熱くなる。


なんで私はここにいるんだろう。
なんで私は彼の隣にいるんだろう。
なんで彼は私をそんな優しい声で呼ぶの?
なんでそんな優しく笑いかけてくれるの?

なんで?なんで?
私はどうしたらいい?

どんどん私の中で彼の存在が大きくなっていく。


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