full of love~わが君の声、君の影~

「じゃあ不倫しろ!」
「はあ?」
急に振り返って何を言い出すかと思えば・・

「そろそろ俺らにも不倫ドラマの主題歌の仕事がくるかもしれないだろっ?」
「それこそ射程外だ!するならお前がしろ」
「相手がOKなら俺は構わないけどな~」

確かにお前は構わないだろう。
こいつはこの仕事始めてからたった数年で噂になっただけでも3人。しかもけっこう有名な女優やモデルなどの一級品の女性たち。
噂になっていないのをいれたら何人になるのやら・・

「そうそう。彼女普通の主婦であの日はパートの帰りだったって。歳の割にデカイ子どもがいるんだよな・・確か高校生だったか。大学生の時に結婚して就職したことがないから働くのが新鮮で楽しいって言ってた。ついこの間まで生粋の専業主婦さんだったんだってさ。勝手にバリキャリのOLさんかと思ったよ、声だけは。俺の耳も当てにならねえなあ・・」
「お前メールだけでそこまで聞きだしたのか」
「え?あ、ま、まあな・・」
「さてはお前・・」

コンコン!「リハお願いしまーす!」ADの声でこの話終了。
神が「ちっ」という顔をした

『さてはお前・・電話したのか?』
と神は言いたかったのだろう。
当り。そう電話で話した。

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