full of love~わが君の声、君の影~

ススメナイ


次の日から切り替えた
いや切り替えたつもりだった

まずずっと家に泊まりで来てくれていた両親を帰した
これからはさくらと2人でやっていかなければならない

「おかあしゃんどこ?」
と捜しぐずるさくらに「お母さんはお仕事だよ」としか言えない
まだ俺もそう信じたいのかもしれない


昼過ぎ咲ちゃんが様子を見に来てくれる
咲ちゃんはあの日からずっとそばにいてくれた
彼女にとっては最愛のお母さんを亡くしたのにだ
情けない俺は自分のことばっかりだ

でも今は咲ちゃんの顔を見るのも声を聞くのも実は辛い
今日子さんとかぶる
特に声は最近似てきていた

咲ちゃんにはさくらを任せ
避けるように自分は洗濯だ掃除だと忙しくした

体を動かしていれば気がまぎれるし
いつものようにしていれば
いつものように今日子さんが帰ってくるような気がした

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