full of love~わが君の声、君の影~
気がつくと
腕の中で頬にたくさんの涙の跡をつけて眠ったさくらがいた
今日子さんが亡くなり3日間俺はさくらの存在をすっかり忘れていた
父親失格だ
哀しいのは俺だけじゃない
まだこんなにも小さいのに母親を失った
そのことすら幼すぎるこの子には理解しきれていない
そんな子を独り残して俺は自分を見失っていた
―――「だいどーぶ?」
―――『大丈夫?』
さくらの声が今日子さんの声と重なる
この小さな愛しい声を俺は独りで守っていかなければ
今日子さんに恥じぬように