full of love~わが君の声、君の影~
――バックステージ
ライブ終わりはいつもハイテンションだ。
アドレナリン出っぱなしのライブの興奮はなかなか冷めない。
特に神いわく単細胞の俺はおさまりきれない。
だからメンバーはもちろんスタッフとも意味もなくハイタッチしたりハグしたり。
大声で歌いまくってもれなく全員にひかれたこともある。
シラフでここまで“イケル”のは日常ではないだろう。
あらゆるリスクを背負ってもこの仕事にやみつきになる。
中毒だ。
だが
今日は違った。
いや、気持はかなりハイテンション。
だができるだけ押さえて押さえて押さえて・・
ステージ裏に回ると衣装をかなぐり捨て(ごめんなさい衣装さん)まっすぐシャワー室に向かった。
滝のような汗でグショグショの自分をキレイサッパリ落ち着かせ
さっさと私服に着替え、控室に誰よりも先に入った。
そう彼女にはバックステージにも“ご招待”してある。
彼女と出会ってあれから半年以上過ぎた。
俺はあの声を聞きたくて時間があえば電話していた。
といっても今日まで3、4回ほどか。あれ?もっとだっけ?
話している内容は友人と母親の中間の人と話しているようなカンジだが
声は大人の女性だった。
男女問わず友人は多い方だが、
これだけ離れた年上の女性の友人はいなかったのでちょっと内心浮ついていたかもしれない。
勝手に脳内でちょっとばかりキレイでスタイル抜群な自分好みの美女に変換されていってしまっていた。
そうなると当然会いたくもなる。