full of love~わが君の声、君の影~
今日子さんのことを思い出すと泣いてばかりだったのに今は笑っている
まだ俺は笑えたんだな
「・・・」
神は黙って俺の話を聞いている
ふと見ると少し涙ぐんでいるように見えた
こいつもこいつなりに今日子さんのことを想ってくれているんだな・・
「それから、お前が思っているようなことはしてないからな」
「は?」
「戻るのが遅かったのは彼女が泣きやむまでそばにいたかっただけだ・・ずっとまともに泣いている暇もなかったみたいだからな」
俺のせいか
「お前につきあってやるのも今夜限りだからな」
俺はわざと明るい声を出して言った
「ああこれでひとつ肩の荷が下りたよ。正直今俺、自分とさくらのことでいっぱいいっぱいだからさあ・・」
「そうだな」
「だから頼むよ咲ちゃんのこと」
「ああそのつもりだ」
神は今まで見たことない穏やかな顔をしていた
こいつもこんな顔持ってたんだ・・いや咲ちゃんが持たせてくれたのか
人は本当に愛している人を手に入れた時、それとともに自信や強さを手に入れる
だが逆にそれを失うことのおびえを知ることでもある
俺はそれを知らなかった
この世界は“2人の生活”は永遠に続くものと思っていた
神は今日子さんの死でその両方を知ってしまったのかもしれない
それでも奴は逃げなかった