full of love~わが君の声、君の影~

♪♪♪
俺の携帯のメール着信音が鳴る
ジャケットから取り出すと、今日子さんからもらったシルバーのストラップが揺れる
見ると《さくら》
「?」
さくらは隣にいる

「・・さくら?・・さくら今日お父さんにメールした?」
「してないよ?」
「さくらの携帯どうした?」
「携帯?えーっと・・お泊りバックの中だよ」
さくらは実家に預けることが多いので専用お泊りバックがある

「!」
俺ははじかれたように立ち上がり外に停めてある車のところへ行った
車の屋根にいた黒猫がふわりと向こうへ姿を消す

「どーしたのお父さーん?」
さくらも追いかけてくる

お泊りバックは車の後部座席に置いたままだった
ドアを開けバックの中を探る
「あった」
その赤い携帯は元々は今日子さんのものだった
それを今さくらに持たせている

俺はさっき自分の携帯に届いた《さくら》からのメールを開く

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