full of love~わが君の声、君の影~
しかし開けたドアの先には誰もいなかった。
捜したかったが、明るい店内に出ると
店中の人間に注目されているような恥ずかしさが来た!
実際は誰も気にも留めていないのに。
顔をまともに上げれないままコンビニの店員に会釈をすると逃げるように外へ出た。
すると後ろから声が追いかけてきた。
「あっ大丈夫でしたか?」
さっきの彼女だ。
ああ外で待っていてくれたのか・・
「ありがとうございました。助かりました」
しかしそこでも俺はまともに顔も見ずに頭を下げた。
「いえ・・・ふふっ間に合って良かったですね」
とさっきとはうってかわって明るいからかうような調子に
思わず顔をあげた。
店頭の明かりの中、メガネの女性がそこにいた。
オレンジ色の手編みらしきニット帽とカーキ色のミニタリー風のコート・・
気をつけて見ないと男女の区別もつき辛い。
だがずい分と背が小さい人であるとそこで初めて気がついた。
「ああ!これ!お借りしていたんだ!」
あわてて肩にいつの間にかなじんでいたストールを取り彼女に渡した。
「スミマセン気づくの遅くて!ありがとうございます!」
「女物でスミマセン・・お役に立てて光栄です」
あ もしかしてばれてる?
また思わず目をふせてしまった。
すると
「これたまたま持っていたので良かったら・・整腸剤です。あとお水」
と彼女から小さい蓋つきの透明なケースとペットボトルを差し出された。
「1回3錠。2回分入っています。水分も取った方がいいですよ」
「ああ・・何から何までスミマセン・・」
と受け取りながら更に恥ずかしさが襲ってきてますます顔があげられない。