full of love~わが君の声、君の影~

「あらっいるじゃない」
両親仲良くそろって登場。ニアミス回避。

「来る時は連絡しろって言ってるだろっ」
「それより彼女は?来てないの?」
どき。

「なんだよ、彼女って・・」
「噂の彼女よ、ほら何とかりなちゃん?ちっとも会わせてくれないんだもの・・今日なら絶対に一緒にいると思ったから押しかけちゃった」
「何が『ちゃった』だよ。名前ちげーし・・あの子とは別れたから」
「ええーもう?」
「期待はずれで悪かったね、ほら帰った帰った」

母親が急にバツの悪そうな顔になった。
「あら・・そうなの・・まあそんなこともあろうかと思ってね」
手に持ってきた箱を掲げて
「ケーキ買ってきてあげたわよ♪」
「げ何で?」
「何でってあんたのお誕生日祝ってあげようと・・ホントは4人で食べようと思ったけど・・まあいいか」
あーびっくりした。母親といえど女の勘はおそろしいって言うからな。

「あら?おかゆなんて・・具合でも悪いの?」
やばっ台所そのままだった。
そういえば、ずいぶん体が楽になっている。いくらか熱がひいたか

「ちょっと飲み過ぎて食欲なかったから・・」
「やあねえ自棄酒?あら美味しい♪こんなの自分で作れたの?」
「作れたの。そんなことより早くケーキ切ってよ」
これ以上突っ込まれるとヤバイ。ちょっと甘え声を出してみた。
「はいはい」
30前の息子でもやはり母親は甘えられると嬉しいらしい。
すぐに鼻歌を歌いながら皿を並べ始める。


父親は無言のまま勝手知ったる感じでソファに座りTVをつけている。


「また今年も晴喜は誕生日に好きな人に祝ってもらえなかったのねえ」
ぐ。
「バレンタインデーなんて微妙な日に産んだ私が悪いのかしらねえ~」
「カンケイないから」
でも確かにちょうど彼女がいなかったりいてもケンカ中だったりで何故かいつも両親とケーキをつつくのがパターンになっている。
この歳になっても親に祝ってもらってる俺って・・;


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