full of love~わが君の声、君の影~

「っておい!何で名前知ってんだよっ」
「お前が教えてくれたぞ」
「へ?そうだっけ?」
「神島さんにどこまで話しているんですか?」
今日子さんが珍しく低い声で聞いてくる。

「ええー!そんなに話してないですよ・・なあ神島くん?」
とぼけた顔で横を向く神。

前回同様手作りのお土産を渡しながら今日子さんが言う。
「晴喜くん、変なこと聞いて良い?」

電話以外で名前を呼ばれたことにドキッとしてしまった。
「な、なんですか?」
「前より大きくなった?」
「・・・はい?」

すると神と何故か坂上が割り込んできた
「どこが大きくなったって?」

すかさず今日子さんが突っ込む。
「どこがって背丈に決まってます!」
「あ、スミマセン・・」
あの2人が一発で縮む。

かまわず今日子さんが続ける
「何となく・・おととしのライブの時より大きく見えた気がしたから・・」
それをうけて坂上が
「こいついつでもどこでも寝てるからまだ成長ホルモン出てるのかもな~」
ここは俺が突っ込む。
「さすがにもう出てねえよっ(今日子さんに向かって)おそらく人間的に成長してるってことではないでしょうか」
と胸を張ってみたら
「それは無えー」
と2人にハモられゲラゲラ笑う。
今日子さんと咲ちゃんもころころと笑う。

あ・・笑顔がそっくり。
前回は顔が似てない・・なんて思ってしまったけど
(今思えば娘さんは父親似なんだな)

やっぱり親子なんだなあとどういうわけか嬉しく思いながら
俺は祈りにも似た想いを心の中でつぶやいていた。


――神様(神島のことではない)
今日子さんの中で少しでも俺の存在が大きくなっていますか・・?

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