full of love~わが君の声、君の影~

結局またロクに話も出来ずに
2人を出口まで送る。

俺は歌の余韻をひきずっっているのか彼女とまともに目を合わせられないままだった。


控室からの長い廊下を曲がったところで今日子さんが「あっ」と小さく声をあげた。
「咲、神島さんにプレゼント渡した?」

うつむいた咲ちゃんが首をふる。
「プレゼント持ってきてたの?じゃあ渡しておいでよ」
「大丈夫?ひとりで行ける?」
「えーひとりなんて無理」

俺も応援する。
「大丈夫。あいつクールぶってるけどぜってえー喜ぶから」

咲ちゃんの顔がちょっと明るくなる。
「ほらっがんばって♪」

今日子さんが背を優しく押す。
「がんばれ~」咲ちゃんの背中を2人で見送る。

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