人魚姫の真実
「なぁ拓馬、アイツ誰だ?」

店の奥に座っていた人を指す佐藤先輩。

「あぁ、紹介するよ。コイツも昔の幼馴染なんだけど、転校しててさ、今はこっちに戻ってきたヤツなんだ」

拓馬が言った後に出てきた人に、私は絶句した。

「九条晃。たしか俊也の学校に転入したはずだけど・・・」

そう、私の隣にいる彼だったから。

「知ってる、知ってる。転校早々女子の人気ナンバー1の転校生君」

「そんなことないですよ・・・」

彼が小さく口を開く。

「いやいや、3年にまで噂は広がってるからねぇ」

人気ナンバー1・・・

その言葉に私は肩を落とした。

そんな人が私を見てくれるはずなどない・・と。

「晃、あっちは姫ちゃんだよ♪」

拓馬が私を紹介した。

「あ、姫です。よろしく」

いつものスマイルで手を差し出す。

「こちらこそ」

そう言って彼も手を差し出して握手をした。

彼の手は大きくて、温かかった。
< 26 / 36 >

この作品をシェア

pagetop