人魚姫の真実
「・・・オイ!!」

「きゃっ!」

急に後ろから腕をつかまれた。

振り返れば、彼がいた。

「九条・・・さん?」

私は彼にばれないように涙を拭った。

「どうしたんですか?」

そしていつもの笑顔を作る。

「いや俺も帰るところだったし、一人じゃ危ないだろうし・・・」

「まさか追いかけてきたんですか?」

「まぁ」

本当なら素直に喜べるはず。

でも出来なかった。

今はただ彼の優しさがとても苦しかった。

心に開いた穴が、さらに広がるだけだったから。

「送ってくよ」

「あ・・ありがとうございます」

断りきれない。

やっぱり私は彼が好きだから。

たとえ結ばれないとしても。
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