人魚姫の真実
『可愛い』

彼の言葉が耳に残る。

「あ・・あの!私時間なんで帰ります!!」

その場にいるのが耐えられなくなって、私は椅子から立ち上がった。

鼓動が早い。

顔が熱い。

彼の前から早く消えたかった。

「じゃあ俺が・・・」

「大丈夫ですから!!」

佐藤先輩の言葉を避けるようにして喫茶店を出た。

そして駆け足で駅へ向かった。

走りながら思った。

何故こういう風に彼と出会ったんだろう、と。

そうすれば彼の気持ちを知ることはなかった。

ずっと片想いでもいられた。

でも彼の気持ちを知ってしまったからには出来ない。

少なくとも学校の私では。

自然と涙が零れ落ちた。
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