Suddenly~せめてもう一度~
ドレッサーの前に座ってぼーっと鏡をみつめる。
今日は人生の大きな節目の日だというのにわたしの顔はどこか曇った表情を見せていた。
パタパタと階段をせわしく登ってくる足音が部屋の前で止まったと同時にさらにせわしくドアをノックする音に変わった。
「華~?起きてる~?こんな日までギリギリにしか起きないんだから~。とりあえず早くしたくしてちょうだいよ。」
まったくもう~ パタパタパタ…
せっかちな母がいつもに増してせわしなくアタフタとしている。
わたしはいつもこの呼びかけには応えない。
母も私が起きていることはわかっている。
ただ、つねに時間に追われるように家中を駆け回っているこんな母の姿は20年間毎朝のように見てきた。
いつもはうるさいな、と思ってしまうが今日は何故か
の光景に笑みをもらす。
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