黒色女子を個人授業
「あいつは一度や二度失敗したくらいで、見捨てるようなヤツじゃねぇよ。
踏ん張れ。仕事ってのはそういうもんだ」


今井さんは乱暴にクシャクシャっと私の髪をかき混ぜると、そのまま立ち上がって去って行った。

手のひらの感触が頭に残る。


あの人からこうしてもらったときの記憶が蘇る。


……大城さん……


――君がいてくれてよかった――


今でもまだ、そういってくれますか?


私は自分の膝を抱きかかえて、涙が止まってくれるのを待った。
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