黒色女子を個人授業
寝室の方から、携帯電話が鳴っている音がした。

机の上でカタカタと震えていた携帯に手を伸ばす。

ああ、あいつか、と俺は通話ボタンを押した。


「もしもし、大城?」

『今井さん、お疲れ様です。今、出張中ですって?』

久しぶりのバカ呑気な声が聞こえた。

「そうだけど。どうした?」

『別に大した用事じゃないんですけど……」

珍しく大城が何かを言いあぐねていた。

『……うちの天野が』

思わず俺は吹き出した。

うちの天野ってなんだよ、会社かよ。

「普通に呼べよ」

俺が促すと、コホンと小さく咳払いして、『彩香が』と言い直した。

今さら名前の呼び方ひとつに何を照れているんだこいつは。


『……彩香から伝言がありまして。
花山さんに『誕生日おめでとう』と一声かけてやって欲しいと。
自分が近くにいてあげられない代わり、だそうです』
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