薬指の約束は社内秘でー婚約者と甘い生活ー【番外編】
優生が会社を出るとスーツのジャケットを脱ぎ捨て、シャツのボタンをふたつ開けたワイルドな夜の顔で街に繰り出す姿を想像してみる。
いや、ない。
ないよ、ないね。うん、ないない。
ドクンドクンッと嫌な音を立て始める心臓に、「大丈夫」と言い聞かせるのに、隣にいる美希ちゃんは私の肩を強く掴みながら、耳打ちをしてきた。
「実は……葛城さんの女性関係は、どれだけ探りを入れてもまったく分からなかった瀬戸自動車の七不思議の一つ。それがついに、明らかになるんですね」
ゴクリと息を呑む美希ちゃんの頭は、優生の婚約者である私を気遣う余裕もないらしい。
いや、ない。
ないよ、ないね。うん、ないない。
ドクンドクンッと嫌な音を立て始める心臓に、「大丈夫」と言い聞かせるのに、隣にいる美希ちゃんは私の肩を強く掴みながら、耳打ちをしてきた。
「実は……葛城さんの女性関係は、どれだけ探りを入れてもまったく分からなかった瀬戸自動車の七不思議の一つ。それがついに、明らかになるんですね」
ゴクリと息を呑む美希ちゃんの頭は、優生の婚約者である私を気遣う余裕もないらしい。