薬指の約束は社内秘でー婚約者と甘い生活ー【番外編】
すると、私の方へ足を組み返した優生の顔が斜めに傾き、そっと音もなく触れ合う唇。
啄むように二度触れ合ってから、引き離される。

「どうしても、ダメ?」

吐息を感じるほどの距離から掠れた声が聞こえて目を開く。

ダウンライトの灯りに反射した切れ長の瞳が艶っぽく濡れているように見えて、心臓が強く脈を打つというのに。

その間も優生は私の髪をさらりとすくいながら、耳元に低い囁きを落とす。


「俺から愛にお願いしたことなんて、いままであったっけ?」

「ない……かも」

「だよな。だから、ほら」

そんな真剣に訴えられると、どうしようと迷ってしまう。

ちょっとだけならいいかな? 
いや。いやいやいやー、ダメだってば私! 結婚式で見て貰おうよ!!
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