薬指の約束は社内秘でー婚約者と甘い生活ー【番外編】
まっすぐ向けられる瞳に、「やっぱりダメっ」と返そうとしたら、それを見透かしたように唇が塞がれる。
いつも不意打ちで、強引なキスにズルイって思いながらも、思考が乱されて抵抗する力が奪われてしまう。すると、背中ごときつく抱き締めた腕が緩み、頬に、耳朶に、額に、そっと優しいキスが落ちてきた。
「仕方ないな。ドレスはやっぱり、当日までのお楽しみにしておくか」
向けられる柔らかい微笑みに、想いはすべて通じているのだと嬉しくなる。
しばらく、見つめあって触れるだけのキスを繰り返した後。
私よりもずっと大きい掌に手を添える。
ふと、私の実家で開かれたささやかな婚約パーティーでの出来事が頭を過った。
婚約パーティーの日。
私の父と酒を酌み交わす優生を見つめたゆりえさんは、ビールが半分残ったグラスをテーブルに置くと、懐かしむように瞳を細めながら語り出した。
いつも不意打ちで、強引なキスにズルイって思いながらも、思考が乱されて抵抗する力が奪われてしまう。すると、背中ごときつく抱き締めた腕が緩み、頬に、耳朶に、額に、そっと優しいキスが落ちてきた。
「仕方ないな。ドレスはやっぱり、当日までのお楽しみにしておくか」
向けられる柔らかい微笑みに、想いはすべて通じているのだと嬉しくなる。
しばらく、見つめあって触れるだけのキスを繰り返した後。
私よりもずっと大きい掌に手を添える。
ふと、私の実家で開かれたささやかな婚約パーティーでの出来事が頭を過った。
婚約パーティーの日。
私の父と酒を酌み交わす優生を見つめたゆりえさんは、ビールが半分残ったグラスをテーブルに置くと、懐かしむように瞳を細めながら語り出した。