薬指の約束は社内秘でー婚約者と甘い生活ー【番外編】
「意外すぎる組み合わせだって会社のみんなに言われたし。私もいまだに夢なんじゃないかなーって思う時がっ」

あるくらいだから――。

そう続けようとした言葉は、不意に唇を押し当てられ喉の奥に消えていく。
腕枕をしてくれていた左腕にそのまま頭を引き寄せられ、彼の熱がするりと口内に入り込んだ。

わわっ。あまりにも不意打ち過ぎて、目を閉じるのが遅れちゃった。でもキスしてる時の優生って、こんな顔してるのか。

我ながら悪趣味だなぁと思いながらも、至近距離にある端正な顔に見惚れてしまう。


いつもワックスで流している艶のある黒髪が、キスの角度が変わる度に私の頬骨の辺りをサラリとくすぐり、時々意地悪に細まる切れ長の瞳は、息継ぎをする瞬間、長いまつ毛を微かに揺らす。

いつもより強めに押し付けられる唇は強引に深みを増していくのに、髪を撫でる指先はどこまでも優しい。
< 4 / 95 >

この作品をシェア

pagetop