薬指の約束は社内秘でー婚約者と甘い生活ー【番外編】
こっちの気も知らないであろう父の態度を思い出すとイライラが積り、新幹線で缶ビールを2本ばかり開けてしまった。

過去の過ちからお酒は控えるようにしていたから、ビールを飲んだのも久しぶりだ。

体中に染み込んだアルコールのせいもあり、優しく言い聞かせるような彼の言葉も頭に入ってこない。
拗ねた子供のように眉間に皺が寄るのが自分でもわかる。


こんなの八つ当たりだよね。自分でもわかってるけど……。

優生に悪いと思うながらも、湧き上がる感情を止めることができない。
まだほとんど口をつけていない自分のマグカップを手に取ろうとしたら、伸ばしかけた右手をごと優しく包み込むように抱きしめられた。


「お父さんの言い方も問題あるとは思うし、愛の気持ちもわかる」

少し前とは違う柔らかい声が耳たぶに触れる。

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