薬指の約束は社内秘でー婚約者と甘い生活ー【番外編】
しばしの甘い余韻に浸った後。
「――だから、違うって言ったのに」
ベッドの隅で脱がされたパジャマワンピースを手に取りながら口を尖らせると、「体はそうは言ってなかったけどな」ボソッと返されてしまう。
「うっ」と息を詰まらせながら後ろを振り返ったら、ワイシャツの袖に腕を通した優生がスタンドミラー越しに意地悪な笑みを浮かべていた。
まぁ、確かに。ダメだと思いながらも途中まで流されちゃったんですけど……。
でも熱じゃなくて、早く起きた優生がシャワーを浴びただけだったからよかったよ。
優生が寝室を出るのを待って部屋着に着替えてキッチンに立つ。
彼の好きな生クリーム入りのスクランブルエッグを手早く作りながら、ふと彼の仕事をサポートしている仙道(センドウ)さんに言われたことを思い出した。