薬指の約束は社内秘でー婚約者と甘い生活ー【番外編】
あの階段、やっぱり素敵だな。

結婚式をどこでするのか決めた時に、結婚情報誌で見たこのホテルの写真の、螺旋階段で撮られた一枚がいいなと思っていたから。

今日は楽しみがいっぱいで、また結婚式をしたくなっちゃいそう。


そんな贅沢なことを考えていたら、教会の前に辿り着く。
すでに参列者でいっぱいになっているらしい扉の向こうに、優生が先に姿を消していった。

そして、少し緊張している父と腕を組みながら、こんなことを思う。


薬指の愛の証は、時間と共に色あせてしまうかもしれない。

でも、いま胸にある想いが変わらないように。
これからも大切な人と向き合って生きていきたい――。


そんな想いを胸に抱き、「さぁ、始まりだ」と薄っすらと目に涙を浮かべた父に腕を引かれ、開かれた扉にゆっくり歩み寄る。

パイプオルガンの透き通った音色に耳を澄ませながら、赤い絨毯の先にいる彼に柔らかい笑みを浮かべた。


END
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