薬指の約束は社内秘でー婚約者と甘い生活ー【番外編】
そんな風に照れくさそうに呟く優生の顔は、初めて見るもの。
新たな素顔を知れて、また胸に温かいものが過ぎていく。

こんな風に穏やかに毎日が過ぎていくのかな。そうだといいな。そうして、いきたいな……。

彼を好きになってから、変わらない目の前の風景を愛おしく嬉しく思っていると、静かなノック音が室内に響いて、

「行こうか」

そう言って差し出された手を握って、ふたりで部屋を後にした。


そのあと、両家の控室で大地といたらしい父と合流して、高級感のある調度品が飾られた廊下を進み、エレベーターに乗り込む。

ひんやりとした風が頬を撫でる屋上は、挙式ができる教会になっていて、帰りはいま使ったエレベーターではなく、螺旋階段を通ることになっている。

エレベーターを降りた際に見えた螺旋階段には、緑のツタが絡められ、ピンクと赤の花びらが、今日という日を祝福してくれるように、赤い絨毯を可愛らしく色づけてくれていた。

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