青空の下月夜に舞う

大丈夫。見とれてはないから。
ちょっと頭があなた達に釘付けなだけ。

とは言えず。


苦笑いだけを浮かべて視線は膝の上に。


「明日。お前ここ出ていくんだろ」


口を開いたのは、慶太郎。
口角を僅かにあげて、背をもたれて足を組むコイツは、誰が見てもだらしない格好。

私に興味なんてないくせに、“お前”と。
あ、だから“お前”なのかな。


人の顔色を伺うのは、癖みたいなもの。
小心者だから、と言われればそうだけど。


私は首を縦に振った。


「寂しいよねぇ」


言ったのは裸女。

口を尖らせて下を向いている。


「最近さ、おかしな事はなかったか?」

「……特には」

「ふーん」


素っ気なく私に問う慶太郎。何が言いたいんだろう。全くわからない。



――数秒間の沈黙。


そして。


「じゃ、明日荷物纏めて。な?」


胡散臭い笑顔を向けられて。
私は頭を振るしかない。

出ていきたくない、なんて思った事はないし、寧ろ早く出て行きたかったし。
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