神風の如く





華蓮は土方の腕を振りほどき、後ろを向いて向き合った




「き、す………?」



「あ、その、接吻のことです……


…えっと、私なんかでいいんですか……?」




これは端から見ていたらおかしな会話だろう




どう考えても言葉が少なすぎる






華蓮は言い切って土方を見上げた




そこには優しい土方がいて





「当たり前、だろ
俺もお前でなければお断りだ



蓮、……お前が………好きだ」





恥ずかしそうにしながら、それでもしっかりと伝えてくれた




止まっていた涙がまた溢れる




──最近、本当に泣き虫になったな………




けれどそんなふうに心から泣いたりできるのも、きっと──────





「私も………土方さんが好きです」




思い切って伝えると、土方は華蓮の涙をそっと拭き取った






「………私、ファーストキスだったのに、土方さんが覚えていないなんて…」




ふと考えると、寂しくなった




それもきっと想いが通じ合ったから




「ん?、初めてだったのか?」




ファーストキスの意味は知らないと思うが、どんなことを言っていたのかはわかるようで、土方は意地悪く笑っていた




「心配するな、これから何回でもしてやるよ」




そう言って華蓮を引き寄せ唇を重ねる




離れたあと、華蓮が真っ赤になっていたことは容易に想像がつく








こうして二人は自分の気持ちと相手の気持ちを知った




時代の流れに逆らって、恋をしてはいけない相手に、恋をしてしまったのだ────





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