神風の如く




でも、不思議だ




ついこの間まで、これからどのように生きるかも決められなかった自分がここまで欲張りになるなんて




それだけではない




ここを、仲間たちを守りたいと本気で思っている




きっと、数ヶ月前の自分が知ったらとても驚くだろう




こんなに笑うことが増えたのも、他人のことについて考えたのも初めて




この時間がずっと続けばいいのに、と思う





しかし華蓮は未来から来た人間だ





このあと何が起こるかは知っている




私たち、新撰組の未来さえも────








そして、九月に入る




どんなに止めようとしても、芹沢の悪行は止まらない




もう、そこまで、あの事件が迫っていた





何度お梅に相談しようと思ったことか




けれど、歴史を変えてはいけない




それにお梅に、このままでは芹沢が暗殺される、なんてこと言えなかった




話しているとき、とても嬉しそうだから




どうしてもそんな雰囲気を壊したくなかった







巡察に出てから、人が死ぬ場面には何度か遭遇しているが、華蓮は暗殺のことが頭から離れなかった




例え好ましくない人でも身近な人の死など考えたくない



まして、それを土方や沖田がやることになるなんてもっと嫌だ




華蓮は、自分が手を加えずとも暗殺という最悪な結末にならないことを祈った



< 155 / 300 >

この作品をシェア

pagetop