神風の如く




「ここですよ」



沖田に連れられて、芹沢とお梅の墓についた



お墓が隣同士だと知り、嬉しくなる




「ありがとうございます」



華蓮はお墓に近寄ると、持ってきた花をそっと置いた



目をつぶり、手を合わせる




──芹沢さん、お梅さん


来るのが遅くなってしまってごめんなさい

二人の死をなかなか受け入れられませんでした


まず、謝らせてください

私は全て知っていたんです

なのに、何もしなかった……………

本当にごめんなさい



でも、お二人には感謝しています

得体の知れない私が新撰組にいることを許してくれてありがとうございました




それから、お梅さん

私、お梅さんの友達でいられたかな

お梅さんのこと、今でも大好きだよ





お二人に報告があります

私は覚悟を決めました




今はまだ、新撰組を見守っていこうと思います

辛いかもしれないけど、みんなの最期に後悔がないように……


そして、いつか決断するときが来たら、私の決めた道をどうか見守って下さい


その時は私も、全力で戦います





じゃあ、また来ますね──────










伝えたいことを伝え、顔をあげると、すーっと風が華蓮の顔を横切った




──うちが華蓮ちゃんを恨んでるわけないやん、むしろその逆、うちも大好きなんよ──



──儂は悔いなく終えた、だからお前はお前で好きなように生きろ──




ふと、二人の声が聞こえた気がした




──はいっ──





「…………っ……ありがとうっ…」



華蓮は涙を流しながら、風が吹いていく方向を見つめた











「会えたんですか……?」



華蓮が落ち着くと、沖田が話しかけてきた



「はい、会いに来てくれたんです」



「そうですか、よかったですね」



最後にお墓をもう一度見つめた




───もしかしたら、私は……歴史を変えるかもしれません



それでも、いいですか────



見守って、みんなの最期を見届けるだけなんてきっと耐えられない



そんなふうに思うときが来るかもしれない




華蓮は答えのない疑問を胸に屯所へ帰った






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