偽フィアンセは次期社長!?
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「えっと……糸島仁美さん、はこちらにいますか?」
「あたしですけど……」
あれは確か、企画部の若手。
オオカミ課長の部下だよね??
月曜日の、朝も早くから一体なんのご用でしょう?
月菜ちゃんと顔を見合わせ、立ち上がる。
「松田課長から伝言です。
『この間の夜の忘れ物です』とのことで、靴をお預かりしています」
……はい?
きゃーだの、ひゃーだの、背後にざわつく声が聞こえていて、背中が寒い。
『夜ってどういうことですかー?!』
『糸島さんと課長って…………』
……聞こえてくるひそひそ話が恐ろしくて後ろが振り向けないんですけど。
とりあえず、差し出された紙袋を受け取りつつ、ごく自然な疑問をぶつけてみる。
「……ありがとうございます。あの、課長は……?」