偽フィアンセは次期社長!?
「にしても、今日は混んでるねぇ」


マルシェを開催するにはある程度の広さが必要だから、開催する場所は限られる。


あたし達も、大体3ヶ所くらいにしか参加したことがない。


その中でも、今日のここは……。


そうだ。


あの課長と、初めて会ったのがこの会場だったから、あたしは妙に思い出してるんだ。


「イケメン部長、早く帰ってくるといいねぇ」


隣に並んでなんとなく手の空いた那由子が言う。


「はぁあ?部長じゃないし、課長だし、それに別に帰って来なくても……」


「いやいやいや、ほんのちょっと、かまをかけたのにこんな盛大に引っ掛かかられると逆に引くわ」


「……へ??」


思わずぐっとつかんでいたハンカチを持つ手を緩める。
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