偽フィアンセは次期社長!?
「あー……すいません」


ごしごしと乱暴に頬を拭く。


どうせ今日は元々メイクなんて無いも同然、UV対策重視バージョンだったから。


「なんだよー、冗談に決まってんだろーよ。そんなお色気むんむんな話なら自信満々言いふらすわ!」


「あ、すいません、なんか話聞いてなくて……ちょっと、那由子が無事でよかったなーとか考えてました」


咄嗟にとんでもない嘘をつく。


話、聞いてないわけないっつーの。

自分で話をふったんだから。


課長は意外と人がいいのか、納得したような安心したような顔をして、


「おー、びっくりさせんなよー、大丈夫、こっちもただセンスのないおふざけ言ってみただけだから」


……なんでわざわざそんな事言うのさ……。




< 191 / 347 >

この作品をシェア

pagetop