偽フィアンセは次期社長!?
小さく笑ってから、

「……いや、でもまぁよかったよな本当」


……あぁ、また。


なんなんだろう。そんな、優しいトーンで話されると、急にドキドキしてしまう。


落ち着いて、あたし。


相手はあの課長だよ??


そりゃあ助けてもらったけど。ただ、それだけのことなんだから。




「……ほれ、着いたぞ」


正直、『えっ、もう着いたの?!』って感じで。


確かに窓の外に見えるのは、見慣れた景色。


「……あ、ありがとうございました」


「……お前さぁ」


低めの課長の声に思わず身体がびくっと反応する。


やめてよ、今神経張り詰めてるんだから!!


……って、完全に言いがかりをつけてるだけなんだけど。



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