偽フィアンセは次期社長!?
「ちょ、ちょ、ちょ……」


すっかり、昔からの友達を見つけたような気持ちで手招きをするあたし。


地味めの彼は、相変わらずお堅い感じで、あたしとは初対面レベルに事務的に対応してくる……って、多分本当に忘れているのかもしれないけど。


「総務の糸島です。松田課長、いらっしゃいますか?」


「もうすぐ、戻る予定です。あ……お待ちになりますか?」


ぶんぶん、と頷くあたし。


では、と案内されたのは、パーティションで仕切られたスペース。


今まで何度か課長と話したところよりも、壁が薄いというか……



ドン!!


大きな音にびくっとなる。


どうやら、壁の向こうは給湯室になっているようで、やかんにじゃーーーっと水を入れている音まで聞こえる。


……ここじゃ、色んな話、できないかも……。
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