偽フィアンセは次期社長!?
だから、何かの間違いだと思った。


久々に来たメールも、意味不明だったし。


オンナの情報網すげー、とは思ったけど。


人のいい、山田を見送って。


「どうせ俺もまたすぐ呼ばれるからそれまでに美味しい店開拓しといてー!」


なーんて声をかけて。


さてと、と改めてふと見たスマホには、尋常じゃない着信履歴。


それが全部あいつって……


何だか分かんないけど、とりあえずかけ直す。


赤いポンチョの、フードをかぶって、にこにこしている姿が目に浮かぶ。


例えばこれから誤解を解いて、いつかはあいつを抱き締める日が来るんだろうか。


『っはい、もしもし、もしもし』


……何慌ててんだ。


耳の奥に響く懐かしい声を聴きながら、思わず頬が緩む。
< 339 / 347 >

この作品をシェア

pagetop