【短編】雨上がりのキスは傘に隠れて。
「じゃ、俺帰るわ。」


あっけなく私の手を離すと和久はそう言った。


少し寂しく思うのは離れた手のせいだけだろうか?


「本当にタクシー呼ばなくて大丈夫?」


「ああ……大した距離ないし、酔冷ましに丁度良いや。」


そう言ってくるりと私に背を向ける和久に


「あのさっ!」


と、声を掛けた。


「ん?」


とダッフルのポッケに手を突っ込んだまま和久が振り返る。


私、何を言おうとしてるんだろ。


そう思いながらも言葉が勝手にこぼれてゆく。


「あのね……」


すると和久はまた私の側まで戻って来てくれた。


「どした?早く家に入らねぇと風邪引くぞ。」


「あっ…うん。そのね、実は今日、うちの親、居ないんだよね……だから」


ーーー泊まってく?


「えっと…お前、それって一人じゃ物騒だからって事?それともーーー」


そう言いかけた和久にちゃんと目を見て言う。


「和久と……離れたくないの……。」











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