太陽の家
クモは、長身の細身で美形なのだが、タイヨウの言うとうり少し怖そうな顔立ちをしている。

髪は坊主で、うっすら茶髪だ。


「ほら、ユキ」

クモはイモ子から受け取った包みを、隣のユキに渡し、ユキも「ああ…」と言ってフツーに受け取った。


(あれ……?いらない?)



イモ子が不安そうに立ち尽くしていると、クモはイモ子に「ん」と言って手の平を見せた。

「へ……?」

「俺の分」

「あ、ああ……」

さっき受け取ったのはユキの分で、クモは自分もちゃんと貰ってくれるつもりだったのだ。

イモ子としては、出来れば顔を覚えるのも兼ねて、一人ひとりに手渡ししたかったのだが。



(まあ……気をきかせてくれたんだし)

イモ子はクモに包みを渡し、テーブルを回って、向かい側のキャバの元へ行き、包みを差し出した。

「……私、卵アレルギーだから無理」

「え……」

よく見ると、他の全員の手元にはたまごスープが置いてあるが、キャバの前には置かれていなかった。

「すいません」

「…………………」

< 9 / 176 >

この作品をシェア

pagetop