フライング
「なんか、のど渇いちゃった。この辺にコンビニってあったっけ?」
ミサトが喉元に手を置いてそう言った。
「ははっ。歌い過ぎだよ。確か、あの角曲がったところにあったと思うけど」
彼が指さした方向を見たミサトは、
「りょーかいっ」
くるりとからだの向きを変え、ヤスくんの腕を掴んでズンズンと歩き出した。
それにつられるように、私たちも歩き出す。
「少しはあったまった?」
からかいを含んだその言葉に、私は首を横に振った。
「ぜーんぜん。こんなとこでおしくらまんじゅうとか、信じられない。ヘンな汗かいて、余計に寒くなっちゃったよ」
わざとらしくからだを震わせてみせると、彼は、
「じゃあ、もう一回?」
って、イタズラに笑う。
「だからね、」
「だったら、ちがうので試してみよ」
「え……?ちがう、の?」
「うん」