極彩色アリス

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階段も見つからないし、やることないな…。
遊ぶ気分じゃないし、お腹が空いてるわけではない。
時計を取り出して時間を確認する。
予定の7時まではまだまだ時間が残っている。

一旦、部屋に戻ろうと階段を下りていると誰かに呼ばれた気がして振り仰ぐ。
誰かがいるわけではない、そこに何かの存在が伺えるのだ。
一睨みすると風に乗るように存在感が瞬く間に掻き消えてしまった。

不思議には思ったが気にも止めず部屋に向かって歩き出す。

二階に到着して部屋に入ろうとする。
不意に外が気になり硝子の窓に近付いた。
硝子に透明な自分が映り込んでいる。
冷ややかな窓に手を添えて丸い月を見上げていると、あの時の事を思い出した。

【******】

「っ!!」

ダンッ!

嫌な声が聞こえた気がした。
あの声のせいで私は何に対してもやる気を出すことができなくなってしまった。
もう、あんなことはしたくない。

力一杯殴り付けた窓ガラスはヒビが入っている。
罅で切ってしまったのか手の甲から一筋の鮮血がこぼれ落ちそうだった。
流れてしまう前に嘗めとる。
このままでは膿んでしまうかもしれないと思い、一階のダイニングに向かうことにした。

あの辺りになら救急箱くらい有るだろう。

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